医療機関でよく耳にする「レセプト」について

-レセプトとは-

レセプトは、診療報酬明細書とも言い、ひとことで言うなら「医療費のレシートのようなもの」です。英語では「receipt」、ドイツ語では「Rezept」ですが、この発音が少し変化して「レセプト」になったようです。少し詳しく説明すると、一回の診療行為にかかった費用の明細を、定められた書式で記載し、それらを集約してひと月分の診療にかかった費用をまとめたものがレセプトです。レセプトには、患者ごと、診療月ごとにそれぞれ、入院・外来・調剤の項目別に診療報酬の内容が詳しく示されており、それを見れば、誰に、いつ、どのような診療が行われたのかを把握できるようになっています。

-レセプト作成の流れ-

医療機関が審査支払機関へレセプトを提出するのは、診療行為を行った翌月の10日前後までと定められています。このため、医療事務スタッフのレセプト作成業務は毎月初めの時期に集中し、次のような流れで行われます。

診療情報の入力
外来患者の場合は、診療が終わると、その日の診療内容(診療情報)をレセプトコンピュータ(以下、レセコン)に入力します。レセコンには診療内容を表すコードを入力しますが、このコードに応じて自動的に診療報酬点数が計算され、レセプトが作成されます。入院患者の場合は、月に数回、手術を行ったときや、費用を精算するタイミングなどで、その都度、入力します。
診療点数早見表
レセプトの作成・出力
月初めに、レセプトの作成・出力を行います。レセプトには患者一人ひとりの1ヵ月間の診療内容・診療報酬を記録するため、患者一人につき1件のレセプトを作成します。個人で経営するクリニックでも、大きな病院でも同じ作業が行われますが、ときには一つの医療機関で月に数千件という量のレセプトを作成することになります。ただ、診療情報については基本的に毎回の診療時に都度入力しているため、レセプト作成・出力の作業自体に大きな負担はありません。
看護婦 入力風景
レセプト点検
レセコンが自動的にレセプトを作成・出力するため、現在レセプト業務のメインとなるのは、「作成」ではなく、レセプトの「点検」業務です。レセコンに入力されている情報がすべて正確であるとは限らず、実際の診療内容と相違があることもあります。そのため、傷病名と診療行為、処方薬との整合性など、コンピュータでは判断できない部分を人の目できちんと点検する必要があります。例えば、点眼薬が処方されているのに眼の傷病名が入力されていない場合などは明らかに過不足があると判断できるでしょう。また、実際に、ある疾病に対して診療が行われていて、その傷病名がレセコンに入力されていても、添付資料の提出が必要な場合があったり、条件によっては診療報酬として算定できないこともあります。レセプト作成の肝とも言える「点検」業務を正確に行うには、診療内容と算定ルールの理解が必須です。この「レセプト点検」で医療事務スタッフの正しい知識と目が重要な役割を果たします。
医師 入力風景
医師による確認、審査支払機関への提出
レセプトに記載されている傷病名と診療行為、処方薬などに不整合の疑いがある場合は、医師に診療内容と傷病名が一致しているかどうかを再確認してもらい、相違があれば正しい情報に訂正してもらいます。また、添付資料の提出が必要な場合などは、文書の作成依頼や提出内容の確認依頼も必要になります。レセプトの記載内容に不備があると、診療報酬の減額や返戻(=レセプトが医療機関に戻ってきて、精査・修正のうえ再提出を求められること)につながるため、不明点は医師と連携してよく確認するようにしましょう。最後に医師による確認を経て、作成した全レセプトの記載内容がすべて正しく整ったら、レセプトの作成作業は終了です。この後、レセプトと診療報酬請求書を審査支払機関に提出しましょう。
データ転送 イメージ

ーまとめー

ひと昔前までは、レセプトを手作業で作成することが医療事務の主な業務でしたが、コンピュータによる自動化が進み、今ではレセプトが正しく作成されているかを点検することがレセプト業務の主役となっています。

レセプト業務は専門性の高い仕事であり、主に行う職種は「医療事務」となります。資格がなくても出来る仕事になっていますが、資格を持っていると就職に有利になります。

メディカル クラーク®(医科・医療事務)
メディカル クラーク®(歯科・医療事務)
クリニック事務技能認定

上記3種類はそれぞれの分野で専門的な資格となるので、必要に応じて資格取得を目指しましょう。

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